テーマ「カツヨシ」
僕が中学生の頃、カツヨシ君という同級生がいた。
僕は、夏休みももう残り僅かという八月下旬、クラスの友人数名と遊園地に遊びに行く約束をした。
しかし、彼は当日欠席の連絡も何も無しに、その場に姿を現さなかった。
翌日の補習の授業にも顔を出さず、友人達は連絡の一つもないことに心配よりも怒りを覚えていた。
新学期が始まって、ようやくカツヨシ君が姿を見せた時、友人達は一体何があったのだと彼に詰め寄った。
するとカツヨシ君は遊園地に行く約束をしていた日の前日の出来事を話し始めた。
その日、彼は大量に残った夏休みの宿題を片付ける為、夜中までその作業に追われていた。
すると、ふと玄関に誰かが来たような気がしたので、気になってドアの覗き穴を覗いてみると、丁度その覗き穴の高さにバレーボールくらいの黒い玉が浮いていてドアの前で高速回転していたという。
ビックリして尻餅をつくと、その黒い玉が玄関のドアをすり抜けて中に入ってきて、彼の顔の前で止まり、高速回転を続けた。
ショックのあまり、彼はその場で嘔吐して気絶。
そのまま数日間寝込んだというのだ。
その衝撃的な話を聞いて僕は思った。
テメェ嘘つけよ、と。
