テーマ「なし」
毎日、自転車で駅まで行っている。
その途中にもうこれかれ2年くらいは閉店セールをやっている布団屋さんがある。
僕はそこを通るたびに「いつまで閉店セールやってんだよ!閉店セールって言ってずっと続ける気だろ!」と思っていた。
先日もいつもと同じように駅まで行く途中、いつもと同じように布団屋を見ると本当に閉店していた。
なんか無性に寂しくなった。
もちろん、僕はそのお店に行ったこともなければ店員の顔も知らない。
なのに、自分でも分からないが、涙が溢れてきた。
思えば毎日、そこを通るたびに文句を言っていたのが、気づけば日課になっていた。
これから誰に文句を言えばいいんだよ。ちくしょう。そして僕は涙を拭いた。
根建太一30歳の夏だった。
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